この記事は、派遣の契約が終わる、または終わったあとで、次の仕事が決まるまで失業保険(雇用保険の基本手当)を受けられるか、自己都合と会社都合のどちらになるか、離職票がいつどこから届くかで迷っている人に向けたものです。 先に結論を書きます。更新や次の派遣を望むなら、満了日の前に派遣元の担当へ伝えてください。離職票が届いたら、離職理由の欄を自分の目で確かめてください。自己都合か会社都合かを最後に決めるのは、派遣元でもこのサイトでもなく、ハローワークです。数字は当サイトが 189 日分の相談を数えたものと、雇用保険法・厚生労働省・ハローワークの資料。2026 年 9 月時点の内容で、出典は末尾に置きました。
失業保険と離職票の相談 38 件で、いっしょに出てくる話題の 1 番目は契約の終了・満了
当サイトの集計で、失業保険と離職票についての相談は 38 件でした。同じ相談の中でいっしょに書かれていた話題は、多い順に「契約の終了・満了」「辞めたいとき」「契約の更新」。失業保険のことは、契約が終わる、辞める、更新するかという区切りの話と一緒に出てきます。
何を聞いているかで分けた悩みの型ごとの件数は、この話題ではどれも公開の下限に届きません。順位は出していません。件数が少ないので、この記事は雇用保険法とハローワーク・厚生労働省の原文を柱にしました。
数字の読み方に 1 つ断りがあります。集めた 4 つのコミュニティのうち 2 つは事務の派遣で働く人のコミュニティで、事務の相談が多くなっています。雑談の返信での助言も拾うので、話題ごとに当たりの割合を測って件数を補正しました。数え方はこのサイトの数え方に書いています。
派遣の契約が終わる前後に確かめる 5 つ
どれも、ハローワークと厚生労働省の資料に書いてあることです。派遣元の担当と話す前に 1 つずつ見ておくと、落ち着いて聞けます。
1. 雇用保険に入っていた期間が足りるか
基本手当を受けるには、原則として、離職の日より前の 2 年間に、雇用保険の被保険者期間が通算 12 か月以上要ります(雇用保険法 13 条 1 項)。特定受給資格者と特定理由離職者は、離職の日より前の 1 年間に 6 か月以上あれば足ります(同条 2 項)。 1 か月と数えるのは、賃金の支払の基礎になった日が 11 日以上か、時間が 80 時間以上ある月です。 ハローワークは、できれば在職中に「雇用保険被保険者証」があるかを確かめておくよう勧めています。
2. 更新や次の派遣を望むことを、満了日までに伝えたか
期間の決まった契約が満了し、本人が更新を希望したのに合意に至らず離職した人は、特定理由離職者の範囲に入ります(13 条 3 項)。契約に「更新する場合がある」とあるだけで、更新の確約まではない場合がこれに当たる、とハローワークは説明しています。
派遣の人については、厚生労働省がハローワークの事務のために定めた業務取扱要領に、いわゆる登録型派遣の書き方があります。 派遣元のもとで次の派遣就業を続けたいと希望していたのに、雇用契約の満了日までに派遣元から派遣就業を指示されず、離職した。この場合が特定理由離職者の範囲に当たる、というものです。 「次の派遣就業が行われること」を派遣元と本人の双方が合意し、共通の認識を持っていたのに指示がなかった場合は、特定受給資格者の範囲のほうに書かれています。
同じ要領は、特定理由離職者の「希望していた」を、本人が契約期間の満了日までに更新を申し出た場合と読んでいます。続けたい、次を紹介してほしいと思うなら、満了日の前に派遣元の担当に伝えてください。いつ、誰に、どう伝えたかをメールやメモで残しておくと、あとでハローワークに見せる資料になります。
期間の決まった契約が 1 回以上更新されて 3 年以上続けて雇われ、更新を希望したのに更新されなかった場合は、特定受給資格者の範囲に別の項目があります。派遣元が派遣と派遣先での直接雇用の繰り返しに積極的に関わっていたなど、一定の要件を満たすときは、派遣先に直接雇用されていた期間も含めて数えることがある。厚生労働省のパンフレットの書き方です。
3. 離職票の離職理由の欄に、何に〇が付いているか
離職票-2 には離職理由の欄があり、派遣元(事業主)と本人がそれぞれ〇を付けます。ハローワークの記入例では、「労働契約期間満了等によるもの」の中に、派遣で働く人のための項目が別に立っています。 名前は「労働者派遣事業に雇用される派遣労働者のうち常時雇用される労働者以外の者」。更新や延長の確約・合意があったか、本人が更新や延長を希望したかに加えて、次のどちらかを選ぶ形です。
- a 労働者が適用基準に該当する派遣就業の指示を拒否したことによる場合
- b 事業主が適用基準に該当する派遣就業の指示を行わなかったことによる場合(指示した派遣就業が取りやめになったことによる場合を含む)
欄の上には「離職理由は所定給付日数・給付制限の有無に影響を与える場合があり」と書かれています。離職票-2 の終わりには、事業主が〇を付けた離職理由に異議が「有り・無し」を、本人が〇で囲む欄もあります。書かれた理由が自分の覚えている経緯と違うなら、「有り」に〇をして、ハローワークで話してください。
4. 給付制限は、2025 年 4 月 1 日以降の離職なら原則 1 か月
基本手当は、求職の申込みをした日から、失業している日が通算 7 日になるまでは出ません(待期、21 条)。 正当な理由がなく自己の都合で退職した場合と、自分の責めに帰すべき重大な理由で解雇された場合は、待期のあとに、1 か月以上 3 か月以内でハローワークの所長が決める期間、基本手当が出ません(33 条 1 項)。これが給付制限です。
正当な理由のない自己都合の退職なら、離職日が 2025 年 4 月 1 日以降の人の給付制限は原則 1 か月になりました。それより前の離職は原則 2 か月でした。 退職日から遡って 5 年のうちに 2 回以上、正当な理由なく自己都合で退職して受給資格の決定を受けていると、3 か月です(群馬労働局・ハローワークのリーフレット、業務取扱要領)。リ・スキリングのための教育訓練などを受けると給付制限が解除される仕組みも、同じ日から始まりました。対象になる訓練は、ハローワークで確かめてください。
気をつけたいのは、ハローワークの手続きのページです。2026 年 9 月 28 日に見たとき、給付制限を「2か月間」とする説明が残っていました。 2025 年 3 月 31 日以前の離職の書き方なので、いまの離職は雇用保険法 33 条と労働局のリーフレットで読んでください。契約の満了で終わったときに給付制限がかかるかどうかは、離職理由の判定しだい。このサイトは決められません。
5. 受給期間の 1 年と、4 週間に 1 度の失業の認定
基本手当を受けられる期間は、原則として離職の日の翌日から 1 年です(20 条 1 項)。受けられる日数の上限(所定給付日数)が残っていても、1 年を過ぎると受けられません。 日数は、離職理由・年齢・被保険者だった期間で、90 日から 360 日の間で決まります。特定理由離職者のうち契約が更新されなかった人は、離職の日が 2027 年 3 月 31 日までなら、特定受給資格者と同じ日数です。
受け始めたら、原則 4 週間に 1 度、失業の認定を受けます。認定の対象になる期間ごとに、原則 2 回以上の求職活動の実績が要ります(最初の認定日までは 1 回)。 許可や届出のある民間の機関、つまり職業紹介の会社や派遣会社が行う職業相談・職業紹介を受けたことは、求職活動に入ります。業務取扱要領は、職業紹介機関への登録だけでは実績に当たらないとしています。派遣会社に登録しただけでは数えず、職業相談や職業紹介を受けたことが実績になります。
離職票は派遣元から届く。派遣元がハローワークに届け出る期限は 10 日以内
派遣で働く人を雇っているのは派遣元です(労働者派遣法 2 条)。離職票の手続きをするのも派遣元。派遣先ではありません。
雇用保険法施行規則 7 条で、事業主は、被保険者でなくなった日の翌日から 10 日以内に、資格喪失届をハローワークに出します。離職したときは離職証明書を添えます。 本人が離職票を希望しないときは添えなくてよいのですが、離職の日に 59 歳以上の人は例外です。ハローワークは、離職証明書が添えられていれば、離職票を本人に交付します(17 条)。失業保険を受けるつもりなら、離職票が要ることを担当に伝えておくと安心です。
ハローワークの手続きのページによると、離職証明書には離職の前に本人が氏名を書くことになっていて、そのとき離職理由などの中身も確かめるよう勧めています。離職後に届くのは離職票-1 と離職票-2。受け取りに行く場合もあります。離職票が届かないとき、派遣元と連絡がつかないときは、住んでいる所を管轄するハローワークに問い合わせてください。
手続きは、住んでいる所を管轄するハローワークで。求職の申込みをして、離職票-1・-2 を出します。マイナンバーの確認書類、本人確認の書類、写真(マイナンバーカードを見せれば省略できます)、本人名義の通帳かキャッシュカードも持って行きます。
確かめた結果で、次にすること
当てはまる行を見てください。決めるのはあなたです。
| いまの状況 | 次にすること |
|---|---|
| 満了がまだ先で、続けたい・次を紹介してほしい | 満了日の前に派遣元の担当へ伝える。伝えた日と相手をメールかメモで残す |
| 次の派遣の指示がないまま満了した | 離職票-2 の派遣の項目と、希望の申出の欄を確かめる。経緯と違えば「異議 有り」に〇をしてハローワークで話す |
| 自分から更新しないと伝えた | どの離職理由になるか、給付制限があるかはハローワークが判定する。窓口で経緯を話して聞く |
| 離職票が届かない | 派遣元の担当に聞く。それでも届かなければ、住んでいる所のハローワークに問い合わせる |
| すぐ次の派遣が決まりそう | 手続きをするか迷うなら、ハローワークで聞いてから決める。受給中に働いたら失業認定申告書で申告する |
| 契約と違う条件やハラスメントで辞めた | 特定受給資格者の範囲に当たる項目もある。契約書や記録を持ってハローワークへ。職場の問題は総合労働相談コーナーでも話せる |
自己都合か会社都合かは、ハローワークが資料で確かめて決める
厚生労働省のパンフレットによると、特定受給資格者や特定理由離職者に当たるかは、住所を管轄するハローワークが、受給資格にかかわる離職理由で判断します。 派遣元が離職証明書に書いた理由と、本人が離職票-2 に書いた理由の両方をつかみ、それぞれを確かめられる資料で事実を見たうえで、最後にハローワークが慎重に決めます。派遣元の言い分だけでも、本人の言い分だけでも決まりません。
持って行く資料の例として、パンフレットは労働契約書、雇入通知書、就業規則などを挙げています。派遣なら、就業条件明示書や、更新・次の紹介について担当とやりとりしたメールもそろえておくと、話が伝わりやすくなります。
派遣元の担当に「会社都合にしてほしい」と頼んでも、決めるのはハローワークです。パンフレットは、離職票の離職理由について事実と違う申告をすることも不正行為になると注意しています。事業主が事実と違う記載をした場合も同じです。 雇止め(更新されずに契約が終わること)そのものに納得できないときは、都道府県労働局の総合労働相談コーナーでも話せます。予約はいらず、無料です。
失業保険のほかに、更新して続ける道、すぐ次を探す道もある
契約が終わるときの選び方は、失業保険を受けるかどうかだけではありません。どの道も選べます。更新して、今の職場で続ける人もいます。迷っているなら、満了の前に担当と話すところからで大丈夫です。更新の話は契約の更新の話題に、満了の話は契約の終了・満了の話題に置いています。
すぐ次の派遣を探す人もいます。派遣元の次の紹介を待つ人、別の派遣会社にも登録する人。受給中なら、派遣会社から職業相談や紹介を受けたことは求職活動の実績にもなります。派遣会社の選び方は派遣会社の選び方と登録の話題にまとめました。
この区切りで、正社員や紹介予定派遣に移ることを考える人もいます。正社員か、派遣かの話題と紹介予定派遣と直接雇用の話題も見てみてください。失業保険と離職票の並びは失業保険と離職票の話題に、途中で辞めるときの話は辞めたいときの話題にあります。