派遣社員の休憩室

派遣の時給と交通費はどう決まる? マージン率で分かる仕組み 5 つ

公開 ・ 派遣社員の休憩室 編集部

時給と交通費の相談 85 件で、多く聞かれている順
  1. 1気持ちをどう整理するか
  2. 2これは普通のことなのか
  3. 3お金のことこの記事の話

当サイトが 189 日分の相談を数えた順位です。3 つはほぼ同じ件数で、並びの件数そのものは出していません。件数はこのサイトの数え方で補正した値です。相談に書かれた時給の額は数えていません。

この記事は、派遣で働いていて、時給がなかなか上がらない、交通費は出るのか、派遣会社がいくら取っているのかが気になっている人に向けたものです。先に結論を書きます。派遣の時給は、派遣先が払う派遣料金の中から、派遣法の決まりに沿って派遣元が決めて払っています。料金と賃金の差がマージンで、その割合(マージン率)は派遣元が公開している。時給の決め方は 2 通りあり、交通費の扱いもそれで変わる。まずは自分の派遣元がどちらかを知ることから。 数字は厚生労働省の令和 6 年度の集計と、派遣法の原文、当サイトが 189 日分の相談を数えたものです。2026 年 9 月時点の内容で、出典は末尾に置きました。

時給と交通費の相談 85 件で、上の 3 つに「お金のこと」が並ぶ

当サイトの集計で、時給と交通費についての相談は 85 件でした。多い順に「気持ちをどう整理するか」「これは普通のことなのか」「お金のこと」。 3 つはほぼ同じ件数です。上の 2 つは、ほかの話題でもよく上に来る型。 この話題で違うのは 3 つめで、当サイトが話題ごとに出している悩みの型の並びに「お金のこと」が入るのは、時給と交通費の話題だけでした。時給の額の話ではありません。相談に書かれた時給の額は、自分の時給か、求人の時給か、ほかの人の時給かを語だけで分けられないので、当サイトは数えていません。

数字の読み方に 1 つ断りがあります。集めた 4 つのコミュニティのうち 2 つは、事務の派遣で働く人のコミュニティで、事務の相談が多く、工場や倉庫の派遣は少なめです。雑談の返信での助言も拾うので、当たっていた割合(適合率)で件数を補正しています。 派遣で働く人全体の分布ではありません。時給の水準は、次の節で厚生労働省の集計から書きます。数え方はこのサイトの数え方に、並びは時給と交通費の話題に置いています。

派遣料金 26,257 円、賃金 16,735 円。令和 6 年度の全国の平均(8 時間換算)

派遣の時給のもとになるお金の流れは、こうなっています。派遣先が派遣元に「派遣料金」を払い、派遣元がそこからあなたに賃金を払う。この差が、マージンです。 賃金を払うのも、社会保険や労働保険の手続をするのも、年次有給休暇を与えるのも派遣元です(厚生労働省のパンフレット)。

全国の平均は、派遣元が毎年出す事業報告を厚生労働省がまとめた「労働者派遣事業報告書の集計結果」で分かります。令和 8 年 3 月 31 日に出た令和 6 年度の速報では、派遣料金(8 時間換算)の平均が 26,257 円、派遣労働者の賃金(8 時間換算)の平均が 16,735 円でした。前の年度より、料金は 3.6%、賃金は 3.4% 増えています。 事務の人に近い「一般事務従事者」では、料金が 18,112 円、賃金が 12,231 円です(どちらも令和 6 年度、1 人 1 日 8 時間あたり)。

読むときの注意が 3 つあります。料金は消費税を含む額で、賃金には消費税がありません。全業務の平均は、業務ごとの平均を単純に平均したもの。業務ごとの額も、事業所ごとの平均をさらに単純に平均したものです。この 2 つの数字を割り算しても、どこかの派遣会社のマージン率にはなりません。自分の派遣元の数字は、次の節の公開情報で確かめます。

マージン率は派遣元が公開する数字。計算は 1 人 1 日の平均から

派遣法 23 条 5 項は、派遣元に、事業所ごとの派遣労働者の数、派遣先の数、マージン率、教育訓練のことなどを、前もって関係者に知らせるよう求めています。 計算のしかたは施行規則 18 条の 2 にあります。式は単純です。前の事業年度の、派遣労働者 1 人 1 日あたりの派遣料金の平均額から、賃金の平均額を引き、それを派遣料金の平均額で割る。小数点以下 1 位未満は四捨五入です。 あわせて、料金の平均額と賃金の平均額、労使協定を結んでいるかどうかも知らせることになっています。

知らせ方は、インターネットの利用その他の適切な方法(施行規則 18 条の 2)。令和 3 年 4 月からは、原則としてインターネットで出すことになりました。派遣元が厚生労働省の「人材サービス総合サイト」に掲載していれば、検索結果にマージン率などが出ます。

大事なのは、厚生労働省の説明にある次の一文。マージンには、派遣会社の利益にあたる部分のほか、派遣会社が負担する社会保険料や教育訓練費などが含まれます。パンフレットは、派遣労働者の福利厚生費も挙げています。 だから、マージン率は低いほどよいわけではない。厚生労働省はそう書いています。賃金の平均額や教育訓練の取り組みと並べて見るのがいい。

時給の決め方は 2 通り。労使協定方式と派遣先均等・均衡方式

派遣元は、次のどちらかで派遣労働者の待遇を決めることになっています(派遣法 30 条の 3・30 条の 4)。どちらを使っているかは、派遣元のホームページなどで分かります。

  • 派遣先均等・均衡方式。派遣先で働く正社員など(通常の労働者)と比べて、不合理な差を付けない。仕事の中身と、配置が変わる範囲まで同じなら、差別的な扱いをしない
  • 労使協定方式。派遣元が、労働者の過半数で組織する労働組合か、過半数の代表者と書面で協定を結び、それに沿って決める。賃金は、同じ地域で同じ種類の仕事をする、同じくらいの能力と経験の一般の労働者の平均的な賃金の額と同等以上にする(施行規則 25 条の 9)

厚生労働省は、2 通りある理由を、派遣先が変わるたびに賃金の水準が変わると、派遣で働く人の所得が不安定になることや、キャリアアップの支援と合わなくなることがある、と説明しています。 労使協定方式では、協定に「仕事の中身、成果、意欲、能力、経験などが上がったら賃金が改善される」決め方を定めることになっています(30 条の 4 第 1 項 2 号ロ)。時給が上がらないと感じたら、自分がどちらの方式で、何を見て決められているかを知るのが最初の一歩です。雇い入れのときには、労使協定の対象かどうかが書面などで示されます。手元の書類を見てみてください。

交通費は決め方で扱いが違う。労使協定方式の基準は令和 8 年度で 1 時間 79 円

派遣先均等・均衡方式なら、話は分かりやすい。同一労働同一賃金ガイドラインは、派遣元は派遣労働者にも、派遣先の通常の労働者と同じ通勤手当と出張旅費を払わなければならない、としています。 ただし、出勤日が少ない人に定期代でなく日額の交通費を払う、といった違いは問題にならない例として挙がっています。

労使協定方式では、厚生労働省の職業安定局長の通達が基準を示している。令和 8 年度(2026 年 4 月〜2027 年 3 月)の通達では、次のどちらか(1 つの協定で両方を使うこともできる)を労使で選びます。

  • 実費で払う。通勤の距離や方法に応じた実費を払う。上限があって実費に届かない人がいて、上限を 1 時間あたりに直した額が 79 円に満たないなら、79 円以上にする
  • 1 時間 79 円と同等以上にする。一般の労働者の 1 時間あたりの通勤手当に相当する額を 79 円としている

通勤手当を別に払わない形もあります。厚生労働省のQ&Aは、その場合、賃金の額が、一般の基本給・賞与等の額に一般通勤手当の額を足した額と同等以上であることが必要としています。 「交通費込みの時給」と言われたら、この形かもしれません。どう確保しているかは、派遣元に聞けます。 なお、令和 9 年度(2027 年 4 月〜2028 年 3 月)に使う額は、2026 年 8 月の通達で 67 円と示されています。もとにする調査が、令和 7 年の就労条件総合調査などに変わりました。

時給を上げてほしいときの決まり。2026 年 10 月 1 日からの書面の変更も

時給の交渉を後押しする決まりは、いくつかあります。どれも派遣法と厚生労働省の資料に書いてあることです。

  • 派遣料金が上がったら、賃金も。派遣元は、派遣料金が引き上げられた場合、可能な限りその派遣労働者の賃金を引き上げるよう努めることとされています(厚生労働省のリーフレット)
  • 派遣先にも配慮の決まり。派遣先は、派遣元が待遇の決まりを守れるよう、派遣料金の額に配慮しなければならない(派遣法 26 条 11 項)
  • 自分の派遣料金が示される。雇い入れ、派遣、料金の変更のときに、あなたの派遣料金か、事業所の平均額が書面などで示される(34 条の 2、施行規則 26 条の 3)
  • 待遇の差の理由を聞ける。求めれば、派遣元は比べる相手の労働者との待遇の違いと、その理由を説明しなければならない。求めたことを理由に不利益に扱ってはならない(31 条の 2 第 4 項・5 項)

2026 年 10 月 1 日からは、雇い入れや派遣のときの書面に、「待遇の違いの内容と理由などについて説明を求められること」が書かれるようになります。同一労働同一賃金ガイドラインの明確化や、公正な評価による待遇の改善の促進も同じ日に始まる。 聞いていいことが、紙に書かれるということ。心強い変化です。

確かめる 5 つと、聞く先

手元の書類と、派遣元のホームページで分かることから並べました。順番はどれからでも。

1. 自分の派遣元は、労使協定方式か、派遣先均等・均衡方式か

雇い入れのときの書面か、派遣元のホームページで確かめます。時給の決め方と交通費の扱いは、ここで分かれる。

2. 派遣元のマージン率と、賃金の平均額はいくらか

派遣元のホームページか、人材サービス総合サイトで見られます。マージン率だけでなく、賃金の平均額と教育訓練を並べて見てください。

3. 示された派遣料金は、自分の料金か、事業所の平均か

派遣開始や料金の変更のときの書面を見ます。どちらの額かで、読み方が変わります。

4. 交通費は実費か、時給に含める形か

就業条件の書面と給与明細を見て、分からなければ担当に聞く。労使協定方式なら、上限や含め方も協定で決まっています。

5. 時給が何を見て決まり、何が変われば上がるのか

派遣元に説明を求められます。求めたことで不利益に扱われない決まりがあるので、落ち着いて聞いてみてください。

気になっていること次にすること
時給が何年も上がらないどちらの方式で、何を評価して決めているかを派遣元の担当に聞く。労使協定方式なら、能力や経験が上がったときの改善の決め方が協定にある
派遣料金が上がったと聞いた自分の賃金も見直されるかを聞く。派遣元には、可能な限り引き上げる努力が求められている
交通費が出ない、上限が低い方式と、協定での通勤手当の決め方を確かめる。派遣先均等・均衡方式なら、派遣先の社員と同じ扱いが原則
マージン率が高くて不安賃金の平均額と教育訓練もあわせて見る。社会保険料などもマージンに含まれる
説明に納得できない就業条件の書面にある苦情の申出先に伝える。それでも難しければ、都道府県労働局か総合労働相談コーナー(予約不要、無料)

都道府県労働局では、待遇の差や労使協定、待遇の説明をめぐる派遣元・派遣先とのもめごとについて、労働局長による助言・指導・勧告や、紛争調整委員会による調停を無料で求められます。求めたことを理由に不利益に扱ってはならないとされています。

時給の相談は、営業担当・辞める・正社員の話と一緒に出てくる

当サイトの集計で、時給と交通費の相談と一緒に出てくる話題は、多い順に「派遣元の営業担当とのこと」「辞めたいとき」「正社員か、派遣か」でした。 時給のことを営業担当にどう言うか、上がらないなら辞めるか、いっそ正社員を目指すか。道は 1 つではありません。どれを選んでも大丈夫です。

今の職場で更新して続けながら、時給のことだけ聞いてみる人もいます。マージン率や賃金の平均額を見比べて、次の派遣元を探す人もいる。働き方そのものを変える人もいます。 営業担当とのことは派遣元の営業担当の話題、辞めたいときは辞めたいときの話題、働き方は正社員か派遣かの話題に置いています。

よくある質問

「交通費込みの時給」と言われました。決まりに反していませんか
労使協定方式の派遣元なら、通勤手当を別に払わない形もありえます。厚生労働省のQ&Aは、通勤手当を払わない場合、賃金の額が、一般の労働者の基本給・賞与等の額に一般通勤手当の額を足した額と同等以上であることが必要としています。派遣先均等・均衡方式なら、同一労働同一賃金ガイドラインは、派遣先の通常の労働者と同じ通勤手当を払うよう求めています。あなたの場合がどちらで、どう確保しているかは派遣元に聞けます。違反かどうかの判断は当サイトでは書けないので、納得できなければ都道府県労働局に相談してください。
マージン率が高い派遣会社は避けたほうがいいですか
マージン率だけで決めなくて大丈夫です。厚生労働省は、マージンには派遣会社の利益のほか、派遣会社が負担する社会保険料や教育訓練費なども含まれるので、マージン率は低いほどよいというわけではないとしています。賃金の平均額や教育訓練の取り組みと並べて見るよう勧めています。どれも派遣会社のホームページか、厚生労働省の人材サービス総合サイトで確かめられます。
自分の派遣料金を知ることはできますか
派遣法 34 条の 2 で、派遣元は、雇い入れるとき、派遣するとき、料金を変えるときに、派遣料金の額を書面などで示すことになっています。示されるのは、あなた自身の派遣料金か、その事業所の派遣料金の平均額のどちらかです(施行規則 26 条の 3)。どちらだったかは書面で確かめてみてください。
この件数と順位はどこまで確かですか
件数は補正後の値です。話題ごとに無作為で 30 件前後を抜き、「投稿した人が自分のこととして、その話題を書いた相談か」を 1 件ずつ判定して、その割合で直しました。時給と交通費の話題で当たっていた割合は約 45% です。判定は AI で 2 系統に分けて突き合わせ、一致した件だけを使いました。人の目では確かめていません。上位 3 つの差は小さいので、入れ替わりうるものとして読んでください。

出典・確認日