この記事は、今の派遣が終わる、または辞めると決めて、次の派遣を探す人に向けたものです。どの派遣会社に登録するか、何社に登録するか、今の会社で待つかで迷っている人を思い浮かべて書きました。 先に結論を書きます。登録の前に、許可、マージン率と賃金の平均、教育訓練、待遇の決め方、紹介予定派遣や無期雇用派遣を扱うかの 5 つを確かめてください。このうち 4 つは、派遣法で派遣会社が公開や説明をすることになっていて、評判を集めなくても見られる情報です。紹介予定派遣や無期雇用派遣を扱うかは、会社のページか登録の面談で確かめます。 数字は当サイトが 189 日分の相談を数えたものと、法律の原文と厚生労働省の資料。2026 年 9 月時点の内容で、出典は末尾に置きました。
派遣会社の選び方と登録の相談 62 件。一緒に出てくるのは社内選考と営業担当のこと
当サイトの集計で、派遣会社の選び方と登録についての相談は 62 件でした。この話題は悩みの型ごとの件数が少なく、どの悩みが多いかの順位は出していません。 代わりに、同じ相談の中に何が一緒に出てくるかを数えました。いちばん多いのは「エントリーと社内選考」、2 番目が「派遣元の営業担当とのこと」、3 番目が「辞めたいとき」です。
登録の話は、登録して終わりではありません。同じ相談の中で、社内選考や営業担当とのことにも触れている人が多い、ということです。 エントリーと社内選考の相談 94 件では、いちばん多い悩みが「次の仕事が決まるか」でした。 登録する会社を選ぶときは、派遣法で公開される情報とあわせて、この先の流れも聞いておくと役に立ちます(後の節)。
数字の読み方に 1 つ断りがあります。集めた 4 つのコミュニティのうち 2 つは、事務の派遣の人が集まる場。事務の相談が多めです。工場や倉庫の派遣の話は薄くなります。雑談の返信での助言も拾うので、話題ごとに当たっていた割合で件数を直しました。数え方はこのサイトの数え方にあります。
派遣会社がインターネットで公開する情報は、厚労省の整理で 8 つ
労働者派遣法(派遣法)23 条 5 項は、派遣会社(法律の言葉では派遣元事業主)に、事業所ごとの情報を関係者に知らせるよう求めています。方法は「インターネットの利用その他の適切な方法」と、施行規則 18 条の 2 が定める。 厚生労働省のリーフレットは、2021 年(令和 3 年)4 月 1 日から、原則としてインターネットで知らせる情報を次の 8 つに整理しています。
- 派遣で働いている人の数
- 派遣先の数
- 派遣料金の平均額(派遣先が派遣会社に払う料金)
- 派遣で働く人の賃金の平均額
- マージン率
- 労使協定を結んでいるか(結んでいれば、対象になる人の範囲と協定の有効期間の終わり)
- キャリア形成支援制度に関すること(教育訓練など)
- そのほか参考になること
見る場所は 2 つ。派遣会社のホームページと、厚生労働省が運営する「人材サービス総合サイト」です。厚生労働省は、派遣会社を選ぶときに、マージン率、賃金の平均の水準、教育訓練の取り組みをこの 2 つで確かめるよう呼びかけています。 人材サービス総合サイトに載せるかは会社に任されているので、載っていなければ会社のホームページを見てください。数字は原則として事業所ごと。一体で経営している事業所をまとめて出している会社もあります。登録する支店や地域の数字を見てください。
登録の前に確かめる 5 つ
どれも、派遣法と施行規則、厚生労働省の資料に書いてあることです。会社のページで見られるものは先に見て、分からないものは登録の面談で聞けば足ります。メモを残すと、別の会社と比べるときにも使えます。順番はどれからでもいい。
1. 労働者派遣事業の許可を受けているか
労働者派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可が要ります(派遣法 5 条)。許可を受けた会社には許可証が交付され、事業所ごとに備え付けて、関係者から求められたら見せることになっています(8 条)。 厚生労働省のパンフレットは、許可を受けていない事業主から派遣を受け入れることを、違法な派遣の例に挙げています。気になるなら、登録の面談で許可証を見せてほしいと頼んでみてください。厚生労働省が運営する人材サービス総合サイトにも、派遣会社の情報が載っています。
2. マージン率と、派遣料金・賃金の平均額
マージン率は、派遣料金の平均額から賃金の平均額を引き、派遣料金の平均額で割った割合です(23 条 5 項)。施行規則 18 条の 2 によると、前の事業年度の、事業所ごとの 1 人 1 日当たりの平均で計算します。 ここで立ち止まってください。厚生労働省は、マージン率は低いほどよいというわけではない、と書いています。マージンには派遣会社の利益のほか、派遣会社が負担する社会保険料や教育訓練費なども含まれるからです。 マージン率だけで決めず、同じ表にある賃金の平均額と、次の教育訓練を並べて見るのがいい。
3. 教育訓練と、キャリアの相談の中身
派遣法 30 条の 2 は、派遣会社に、派遣で働く人が段階を追って仕事に要る技能や知識を身につけられるよう、教育訓練を実施することを求めています。本人が求めれば、これからの働き方の相談の機会も用意する決まりです。 公開される情報にも、教育訓練やキャリア形成支援のことが入ります。どんな訓練を受けられるかは会社によって違うので、自分の職種に合う訓練があるかを見てください。
4. 待遇の決め方は、労使協定方式か、派遣先均等・均衡方式か
派遣で働く人の待遇は、派遣会社がどちらかの方式で決めます(厚生労働省の同一労働同一賃金の説明)。派遣先均等・均衡方式は、派遣先の社員との間で不合理な差を付けない決め方です(30 条の 3)。労使協定方式は、派遣会社が、労働者の過半数でつくる労働組合か過半数の代表者と書面で協定を結び、同じ種類の仕事をする一般の労働者の平均的な賃金と同等以上になるよう、賃金の決め方を定めるものです(30 条の 4)。 厚生労働省は、派遣先に合わせると派遣先が変わるたびに賃金の水準が変わり、収入が安定しにくくなることを、2 つの方式がある背景に挙げています。
労使協定を結んでいるか、結んでいるなら対象になる人の範囲と有効期間の終わりは、公開される情報に入ります(施行規則 18 条の 2)。厚生労働省も、どちらの方式かは各派遣会社のホームページなどで確かめられると書いています。自分がどちらの方式になるかは、雇い入れのときに、協定の対象かどうかとして明示されます(31 条の 2 第 2 項、施行規則 25 条の 16)。 派遣会社は、派遣で雇おうとする人に賃金の見込みなど待遇を説明することになっていて、賃金の見込みは書面などで示されます(31 条の 2、施行規則 25 条の 14)。 2026 年 10 月 1 日からは、雇い入れや派遣のときに明示される事項に「待遇の違いの内容と理由について説明を求められること」が加わります。分からない点は聞いてかまいません。
5. 紹介予定派遣や無期雇用派遣を扱うか
いずれ直接雇用や長く働ける形を考えるなら、登録する会社がそれを扱うかも見ておきます。紹介予定派遣は、派遣の期間のあとに派遣先で直接雇われることを予定した派遣です。厚生労働省の手引きによると、職業紹介を伴うので、派遣会社には職業紹介事業の許可か届出も要ります。同じ人について、6 か月を超えて派遣してはならないとされています。 無期雇用派遣は、派遣会社に期間を定めずに雇われて派遣される働き方です(30 条の 2 の定義)。扱っているかは会社のページや登録の面談で聞いてください。 考え方は紹介予定派遣と直接雇用の話題と正社員か、派遣かの話題にまとめています。
確かめた結果で、次にすること
当てはまる行を見てください。どれも登録の前か、登録の面談の場で決められます。迷ったら聞けばいい。
| 確かめた結果 | 次にすること |
|---|---|
| 5 つがそろい、説明に納得できた | 登録する。紹介を待つ間に、エントリーの流れと営業担当の連絡先を控えておく |
| 許可を受けているか分からない、許可証を見せてもらえない | 登録を急がない。許可証を見せてほしいと頼み、分からなければ都道府県労働局に聞く |
| マージン率の数字だけが目立って、ほかが分からない | 同じ事業所の賃金の平均額と教育訓練の中身を探す。無ければ面談で聞く |
| 待遇の決め方や、自分が協定の対象かが分からない | 面談で聞く。賃金の見込みは書面などでもらう |
| いずれ直接雇用を考えているのに、紹介予定派遣を扱っていない | 扱っている会社もあわせて見る。今の会社にだけ登録したままでもいい |
何社に登録するかに決まりはない。登録の面談で聞いておく 3 つ
派遣法には、登録する会社の数についての定めはありません。当サイトも件数を数えていないので、何社が普通かは書けません。 1 社で次の紹介を待つ人もいれば、職種や地域を広げたくて別の会社にも登録する人もいます。どちらでもかまいません。
一緒に相談されることが多い話題から考えると、登録の面談では次の 3 つを聞いておくと、後で迷いにくくなります。
- エントリーしてから結果が出るまで、どう連絡が来るか(社内選考に通らなかったときの伝え方も)
- 担当の営業は誰で、困ったときはどこに連絡するか
- 今の経験で、希望の職種の紹介がどのくらい見込めるか
苦情の申出先は、雇い入れのときに明示される事項の 1 つです。派遣会社にも派遣先にも相談の担当者がいて、分からないことは都道府県労働局に聞けます。 エントリーの話はエントリーと社内選考の話題、営業担当の話は派遣元の営業担当とのことの話題、登録の話は派遣会社の選び方と登録の話題にあります。
今の派遣元で待つ、働き方を変える、という道もある
別の会社に登録するのは、道の 1 つです。今の派遣元で次の紹介を待つ人もいますし、今の職場で更新を続ける人もいます。 厚生労働省のパンフレットによると、同じ部署に続けて 3 年間派遣される見込みがある人には、派遣元が次の派遣先の提供や派遣先への直接雇用の依頼などの措置をとります。今の担当に、次の予定を聞いてみてもいい。
派遣ではない働き方を考える人もいます。紹介予定派遣、無期雇用派遣、正社員のどれが合うかは、正社員か、派遣かの話題で、ほかの人がどこで迷ったかを見られます。 焦らなくて大丈夫です。